カテゴリ:教育( 9 )

受験勉強に対する“免疫”

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遅ればせながら読んでみた.割と簡単なものから,えー??なものまで.

一番 納得したのは,あとがき直前の「ちょっとひと息interview」.
 翻訳学校で教えていて,ひとつ感じることがあります.合格したかどうかはともかく,かつて大学受験などの大きな試験に向けて本格的に勉強した人とそうでない人のあいだには,翻訳学校にかよいはじめた後でもやっぱり明確な差が表われてくるんです.翻訳するには,単語だけではなくていろいろな背景も調べる必要があるわけですが,受験勉強をしっかりやった経験のある人は,「ここまでは調べなければいけない」という追求の度合いが深い.結果として,そうでない人との差がますます広がってしまうんですね.

 たとえば,ひとつの単語集を覚えるには,そうとうな労力が要ります.それこそ,忘れて覚えての繰り返し.でも,その過程で得たさまざまな蓄積というのは,何か新しいことをやろうとしたときに必ず生きてきます.なぜかというと,どういう作業が必要か,どれほど苦しいか,どれだけ時間がかかるか,そういったことを頭と体で知っているから.同時に,すでにひとつやり終えているので,どんなに大変であろうとも”やりきる自信”はあるわけです.労力に対する“免疫”や“耐性”と言ってもいいかもしれない.それともうひとつ,人間はいかに忘れやすい生き物であるか,いかに怠けやすい動物であるか,自分がいかに愚かであるかを,体験的に知っている.これは大きいですよ.謙虚な気持ちを忘れずに学習に取り組める,という意味でね.

 受験勉強に限らず,ある一定期間,何かについて徹底的に勉強した経験は,つぎに新しいことを学ぼうとするときに大きなアドバンテージになります.だからもし,これから英語をきちんと勉強しようと思われているかたがいるなら,それは英語を学ぶにとどまらない意味があるんだということを,ぜひ心に留めておいてほしいですね.

 
 ※♪‡◎コースとか,専門医試験とか,受験料がそれなりで,期日が決まっていて,落ちると恥ずかしい,といったものをあれこれ受けてきた経験を振り返ると,上記はまさにその通り.

 逆に,期限がない,落ちる/落ちないとかでない,そうしたものを日々こつこつと勉強していくのが,なかなか困難なんだよなぁ.そのうち読もう,は永遠に来ない.
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by e_physician | 2009-09-19 00:41 | 教育

医職同源

不合格 年齢差別認めず 群大訴訟 地裁判決

 この人が卒業して初期・後期研修終える頃には64歳...とかいうのは,ちょっと置いといて...

 この件が最初にニュースになった時にも書いたが,当時の群大のHPのFAQによると
応募に年齢制限はありますか?
--年齢制限はありません。制限があるとすれば、あなたの知力・体力・気力です。しかし、医師として活躍するには、6年間の課程に加えて、臨床研修2年間も含め卒後10年間くらいの経験が必要であることを考慮してください。
とあった.現在のFAQは以下の通り.
出願するにあたり年齢制限はありますか?
⇒ありません。いずれの入試においても年齢はもちろん、性別、出身地等の区別なく、全く同じ条件のもとで選抜を行っています。
この微妙な表現の違いは何なんだろう.でもよく考えてみれば,「応募」は自由(だけど合否を決めるのはこっちだからねー)という屁理屈も成り立つ.

 報道によれば「入試担当者に説明を求めたところ,年齢が問題となったという説明を非公式に受けた」とのことだが,この辺の言った言わないは録音テープでもなきゃ裁判で証明するのは難しいから,裁判という場では勝ち目はなかったのかもしれない.ただ,上記発言が事実だとすると,奈良の事件でもよく批判される“後出しジャンケン”っつー気がしなくもない.

 ところで,よく持ち出される数字:医学生一人医者に育てるのに6千万だの1億だのってのは,恐らく私大医学部の学費から出てきているのかと思われるが,それが全額医学生の教育に使われているわけではなかろうよ.高額な超最先端医療機器なんて医学生の教育とは何の関係もないし(学ぶ内容も,国試に出るのも,結局は超最先端ではなく,基本的な事柄ばかりだから),大学病院の医師のうち医学生の教育に深く携わっているのは,果たして何割くらいだろうか.ポリクリも,ただ見てるだけだったり,自習させたりで,ろくに指導もしない科もあるから,純粋に医学教育にかかる費用ってさほど高額じゃないんじゃないかと思う.
 ちょっと定員増やしたって,直接的に困るのは,病理実習の顕微鏡の台数くらいじゃないか?解剖実習だって,1体を4人で解剖する大学もあれば6人のとこもあり,多少増えたってどってことないだろう.少なくとも,一人増えたから,教育コストが1億円よけいにかかるってことはないはずだ.
 そういう意味で群大はこの主婦を入学させたところで,それほど大きな被害はないんだから,特例で入学させといて懐の広いところを見せてもよかったのでは?(懐が狭いからこうなった,とも...) もちろん,仮に入学させていたとしても,臨床研修先選びには相当苦労すると思うが,それは自己責任ってことで.


 医学部は医師養成所であって趣味の学問とはちがーう!という意見もあるが,実技を伴わない学問だけのコースを作ってもいいんじゃないだろうか.で,司法書士ならぬ医療書士みたいな資格作って,医師の代わりに保険や労災の書類書いてくれる*職種(サインはするからさぁ)とか,どこかのblogで提案されてた,ムンテラしてくれる医療説明士(胃カメラとか輸血とか造影剤の同意書とか,ルーチンの説明内容だけでも)なんかがいたら,医師の疲弊もだいぶ少なくなると思うのだが...ダメ?

*アメリカでは,高い給料払ってる医師にペーパーワークなんかさせたらもったいない(医師には医師でなければできないことをやってもらわないと)と,そういう職種があると聞く.あぁ,日本じゃ医師の給料は安いから,もったいなくないか. せめて,たくさん書類書いたら,1通につきいくら,とか給与に上乗せしてくんないかなぁ.そしたらいくらでも診断書 書いちゃうよ(ウソ).

記事引用
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by E_physician | 2006-10-29 00:08 | 教育

ムショの方がまし

かつて戸塚ヨットスクールが社会問題化していた頃,テレビで放映されていたドキュメントをおぼろげながら思い出した.

家庭内暴力なのか,親がスクールに入れたが,自宅に逃げ帰ってきた息子.親は再度 スクールに送り込むべく,スクールに連絡し,関係者が息子を連れ戻しに来た.必死に抵抗しながら少年はおびえて泣き叫ぶ.

「嫌だー! 刑務所行くー!!」
(文字では上手く表現できないが,半狂乱である.子供心にマジ恐かった.)

4人も死んだくらいだからな.刑務所の方がまだましなのかもしれない.

今も耳に残って消えない...
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by E_physician | 2006-05-01 23:08 | 教育

受験生じゃなくてよかったー

センター試験 初の英語リスニング 故障は大丈夫?
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 大学入試センターのHPでこのICプレーヤーの疑似体験ができるが,何ともまどろっこしい.見た目も安っぽくて,どうみても不良品が多そうだ.試験終了後に持ち帰ることができるってことは,多分 本当に安いんだろうなぁ.
 それに加えて,この英語のリスニング,やってみると意外と難しい.今だから解けるが,自分が高校生だった時のことを考えると,高得点は望めなかっただろうという気がする.

 周囲で大きな騒音や他の受験者の咳・くしゃみ等があっても救済措置はないとのこと.だったら,受験生全員に前のログで紹介したQuietComfort®2を使用させてはいかがだろうか.で,試験終了後はお持ち帰り自由,なーんてね.受験者倍増するよ,きっと.

記事引用
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by E_physician | 2006-01-19 02:31 | 教育

忘れられない授業 その1

一般教養の数学の時間.

出席が取られるので,出席率はそこそこあった.私は数学がまるでダメだったから,ちんぷんかんぷんだったけど,数学の好きな人にとってはさほど難しくない授業のようだった.先生は背丈は大きいが腰の低い,穏和そのものって感じの方だった.

ある日の授業中 やたらひそひそおしゃべりしている女子学生群数名.おしゃべりはいつ止むともなく,延々と続く.先生の講義も淡々と続いていた.

と,突然

 「静かにしないか!」

教室中が静まりかえった.

 「いつまでそこでおしゃべりしてるんだ! 私は出席は取るが,出席が足らなくても試験通れば単位はやる!点とれるなら出席はゼロでも構わん! だから,しゃべるなら出て行け!」

少し間をおいて,

 「突然 大声を出してすみませんでした」

と,先生は頭を下げ,何事もなかったように講義を続けられた.
(無論,該当の女子学生どもは堂々と出て行くほどの度胸はなかった.)

授業の終わりにも

 「今日は授業中に大声を出してすみませんでした」

と再び深々と頭を下げ,去って行かれた.


いい人すぎる...


私はと言えば,授業がさっぱりなら試験もさっぱり.出席点だけで大幅に下駄を履かせてもらって留年をかろうじて免れた.そういう意味でもいい先生だった.
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by E_physician | 2005-08-05 00:45 | 教育

患者さんにわかりやすい言葉で話すには

 某HPに,研修医向けの指南として「医学専門用語をできるだけ使わない説明を」という至極当たり前のことが書かれていた.しかし,現実の問題は,医師(研修医だけではない)の側に,どこまでが医学用語でどこからが一般の人でもわかる言葉か,というのがはっきり線引きされてない(わかりづらい)から問題なのである.

 私がいつも指導するポイントは,単純に

 漢字熟語とカタカナを極力避けること

である.これを実践するだけで,わかりにくさのかなりの部分は改善されると思う.例えば,(これは私が実際に耳にした発言であるが)研修医が患者さんに向かって曰く
 「がいになってください」
漢字で書くと「臥位になってください」で,臥位=仰向けだ.耳だけで認識している患者さんにすれば「?」である.案の定 この時 患者さんには通じていなかった.

 日本語は同音異義語が非常に多い(世界一といってもいい)言語である.
 「挿管して人工呼吸をしなければなりません」
は,患者さんや家族の耳には
 「そうかんしてじんこうこきゅうを・・・」
と聞こえるわけだが,そうかんの同音異義語には,挿管・創刊・送還・相関・相姦・・・と多数あり私の電子辞書版 広辞苑では19個ある.医療関係者以外で,即座に「挿管」が思い浮かぶ人はそう多くはないと思われる.
 「息を吸ったり吐いたりする通り道に管(くだ)を入れて,息をするのを手助けしてやらなければなりません」
 このように漢字熟語をなくせば,かなりわかりやすくなると思うが,いかがだろうか.

 普段医療スタッフが当たり前に使っているカタカナ語のカテーテル,シリンジ,ストレッチャー,ドレーン,シャント・・・ これらも一般の人には決してわかりやすいものではないことを肝に銘じておくべきだ.

 言うまでもないが,ここで述べたのは使用する用語についてのみ.説明内容が支離滅裂とかいうのはまた別の問題である.
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by E_physician | 2005-07-15 22:42 | 教育

印税

ふと思い出した学生時代の話.


ある科の先生が

 「この教科書 僕も執筆に加わっているから1冊(7000円前後)売れると17円 印税入るんですよ.強制ではないけど,できれば買って読んでください.」

と言ったら,授業の後 ある学生が近寄って来て曰く,

 「先生,17円あげるから,買わなくていいですか?」


・・・学生の勝ち.(私ではない.念のため.)
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by E_physician | 2005-05-26 22:21 | 教育

AT YOUR OWN RISK

 鹿児島の防空壕跡で中学生がCO中毒で死亡した事故は,実に痛ましいものである.しかし,防空壕を埋めてしまえばそれでOKというものでもない.

 身の回りには危険なものがいっぱいある.ちょっと地方にいけば,ため池や泳げそうな川,深い森.それら全てを,防空壕を埋めるように,子供達から遠ざける訳にはいかない.ちょっと危なそうだから,探検してしまうのだ.どうしたって危険を完全に取り除くことはできないのだから,危険に対してどう対処すべきかを教えるのが大人の役割ではないか.

 火遊びは危険,小さい火でも消し忘れると山火事になったりする,締め切った場所で火を使うと一酸化炭素中毒になる,ため池はプールと違って急に深くなったり藻が茂ってたりして溺れやすい...こういったことは,教科書には書いてないし,道徳の時間にも教わらないだろう.現代の親は教えてくれるだろうか.生きていくためにはとても重要なことなのに.

 何でも学校で教えるのはどうかという意見もあろうが,性教育だって学校で教えるんだから,こういう生きていく術をsystematicに教えてもいいんじゃないだろうか.例えば,服を着たままプールで泳がせて,いかに泳ぎにくいかを実感させたり,服のままで水中に落ちたら,どうすればいいか教えたり.性教育と同じくらい大切だと思うけどなぁ.

 防空壕を埋めたところで,子供達は次の冒険場所をきっと探し出す.この年代の子供達を部屋に閉じこめておく訳にもいくまい.だったら,自分の身は自分で守る,その方法を教えるのは大人の義務だろう.


 と,山の中を走り回ってクワガタ探し,マムシを踏んづけそうになったこともある子供時代を過ごした私は思った(要するに田舎もんってことだ).

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 この写真は,ハワイ島のとあるビーチにあった看板.アメリカでよく見かける,決まり文句の標識だ.
 ちなみに,ここのビーチのトイレには,ドアがなかった.これもAT YOUR OWN RISKってことか...
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by E_physician | 2005-04-12 23:26 | 教育

医学生 3人寄れば 烏合の衆

 当院は名前(だけ?)は有名な臨床研修病院なので,多数の学生が見学に来る.中でも救急部は人気が高い.しかし,ほとんどの学生は救急に興味があるわけでも何でもなく,「見学に来た」という既成事実を残すために来ているようだ.マッチング導入により見学希望の学生は今後も倍増すると予想(危惧)される.

 春休み・夏休み中はどうしても見学の学生が多くなる.見学者を制限せず,広く見学の機会を提供しようという思いからだ.しかし,患者が救急車で搬送されてくると,医学生達はズラーッと患者を取り囲む.基本的に,医師が1-3人,看護師1-2人が診療にとりかかるのである.これにさらに白衣の学生が加わったら... 病院に運ばれて,白衣の集団にいきなり取り囲まれたらどんな気持ちか,想像もつかないのか,あるいは想像しようともしないのか.これは大学病院の「白い巨塔」回診の弊害としか思えない.3人以上学生がいる時は,この「ズラリ取り囲み現象」が確実に見られる.こちらが注意をしなければこの現象は100%確実に発生する.今のところ例外はない.先週はあらかじめ注意したにもかかわらず,3日目頃にはもう患者を取り囲んでいた...

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 一昨日は,仲良し二人組(女子学生)が見学に来ていた.レントゲン撮影室前の(患者用)ベンチに座っておしゃべりに興じた上,ガムを取り出して食べようとしたらしい.ナースが見かねて注意したら
 「あ,やっぱりダメですかー?」
ガムは諦めたものの,おしゃべりは続く.同僚の医師Y(普段は穏和な女性医師)が
 「興味ないなら,帰っていいよ」
と言うと
 「じゃあ,見ます.」
しかし,いつのまにかいなくなっていた.見学終了時には,氏名・大学名・感想を記載して帰るように指示されたにもかかわらず記載なし.帰ります,とか,お世話になりました,等の挨拶もなく...

 春休みが終わり,束の間のほっと一息である.
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by E_physician | 2005-04-11 00:41 | 教育