カテゴリ:医学・医療一般( 94 )

略語

医学用語はものによっては非常に長く,医療者の会話の中では思いきり略した形で話すことも多い.

動脈血液ガス →「血ガス」とか,心臓マッサージ→「心マ」とか.ただ,どうしても慣れないのが一つだけあって,それは...

慢性硬膜下血腫→「△ん□う」

別に可愛い子ぶってるわけじゃない.酒の席なら下ネタにも付き合うよ.
だけど,カンファレンスで,こういうのを耳にすると,「君 それ発音して恥ずかしくないか?」と言いたくなってしまう.得てして,これを言う人って,なかなか“癖のある”(←便利な表現だなぁ)人が多いからなぁ.私が尊敬する医師達はまず言わない.

じゃあ何て言えばいいのか? そりゃ,フルネームか,英語の略称(CSDH)だろう.さほど舌を噛んだりはしないと思うけど.


さりげない節度,かな.
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by E_physician | 2011-11-05 00:28 | 医学・医療一般

「生まれてはならない子として」

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「生まれてはならない子として」

ハンセン病については,一時期 読みあさったことがあり,だいたい理解はしているつもりなので,この本を読んでも殊更衝撃を受けるということはなかった.

不思議なのは,もっと感染性の高い,(当時は)致死性の結核にはこのような隔離政策がとられなかったのに,なぜハンセン病がこれほどまでに忌避されたのかが,未だに理解できない.見えない内臓よりは,外観の変形に人は過敏に反応するということなのだろうか.
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by E_physician | 2011-11-02 15:48 | 医学・医療一般

LAW & ORDER:性犯罪特捜班 シーズン9 第9話

第9話「父親の条件」 原題“ Paternity”

ストーリーのメインテーマはまぁよしとして...後半の交通事故にまつわる経過・処置がツッコミどころ満載で...



エリオットに代わってオリビアが,検診のためエリオットの妻キャシーを車で送っていくことになる.オリビアが発進してまもなく,右側の路地からまったく減速していない大型普通車が飛び出してきてオリビアの車体右側(アメリカなので助手席側)に激しく衝突(CGでなく実写のようだが,助手席側は死ぬか瀕死の重傷を負ってもおかしくないくらいの高エネルギー事故.この衝突シーンはかなりリアル).
しばし気を失うも気がついたオリビアは,意識がなく怪我を負っているキャシーに気付く.オリビアは自力で車外へ出て,そこに救急車,レスキュー車両が到着.キャシーは脚を挟まれており,シャシを切断しないと救出できない.救命士1 窓から患者に触れ「脈が速い,これじゃあ血圧は測れない」 救命士2「どうにもできないわ」(太めの黒人女性) で,オリビア「私が入るわ」(英語の台詞では,私は出られたんだから入れるわ,と言っている)と後部座席に進入.頭部を支えつつ,一人でネックカラー装着.さらに,わずかに意識が戻ったキャシーが再び意識消失,スカートには出血があり,点滴がいる!ということになり,点滴なんてとったことないはずのオリビアが,患者の背中側にいるのに(!),駆血帯巻いてないのに(!),車外にいる救命士の指示に従って末梢静脈ライン確保! かなり鋭角(45°くらい)の刺入で,最初は「ダメだわ」 救命士1「もっと強く押せ」→逆血あり,で確保成功.すぐに点滴をつないで,点滴バッグを7-8回ギューッと絞ると,キャシー意識回復(早過ぎ!).

ピラーを切断して屋根を外しても,脚が挟まっていて,そこの部分の離断が必要なんだが,そこにボスが現れ,夫のエリオットとつながっている携帯電話をオリビアに渡す.お決まりの"I love you"を互いに言わせるんだが,その間 周囲が非常に静か.状況的にその会話の間だけ救助活動を保留していると思われる(その間約20秒).電話が終わると,おもむろに車体の離断が始まる.これでようやく挟まれていた部分が開き,バックボードで救出となるんだが,ベルトは締めるが,イモビライザーはなし.

ようやく救急車内に搬入され,10分のところにある病院へ搬送開始.だが,もうダメ産まれる,ってことで,ボード固定を解除し,坐位になって,3回くらい息んで出産,無事に産まれたbabyを抱いて,ゆっくり臥位になると,キャシー意識消失.「酸素が足りない!」(だってそれまで酸素してなかったんだもん) モニターが映り,HRが秒単位で,113→120→143→164→180→いきなりflat(早過ぎ!) 救命士は気道確保もせず,病院に電話して「心停止です」「規定に従って処置をして,救命室に運んで」てな会話をしつつ...

ここでシーンは切り替わり,病院に駆けつけたエリオットと対面する妻は...(人工呼吸器につながれて...と思いきや)babyを抱いて「男の子よ」って...


エリオットは犯人逮捕のために,2時間ほど離れた地に行っていたため,病院に急行させるためにヘリ("chopper")を用意した,っていう件もあるが,さすがにそれはまずくないか?




医療ドラマではないし,ドラマチックな演出,とは言え... いや,医療ドラマで人気の高いDr.Houseだって,相当なもんだが... 
ま,刑事ドラマと言ったって,自分が刑事じゃないからわかんないだけで,アメリカの刑事さん達は,ツッコミまくりで爆笑しながら観てたりして.
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by E_physician | 2011-09-25 23:46 | 医学・医療一般

「困ってるひと」 医療崩壊ウォッチャー的視点からのツッコミ

d0023240_25459.jpgやたらと話題だったので読んでみた.
闘病記風の自虐的エッセイといった感じ.


・医療難民になれるということ
 いくらでも好きな医療機関(ナショナルセンター含む)を受診できるから,医療難民なわけで.アメリカだったら,そもそも家庭医の紹介状がなければ大病院は受診できないし,加入している保険によって受診可能な医療機関が制限され,あちこち多数の医療機関受診なんかできないシステムになっている.
 某芸能人が,診断がつくまで多数の医療機関を受診したということを,診察券をトランプのように広げて見せて語っていたが,それが日本ならではの贅沢であることを,理解してほしい.

・医療関係者についての記載
 固有名詞は書いてないし,地名もぼかしてはあるが,事情にちょっと詳しければどこの病院かは大体想像がつく.
 ここまで売れるとは予想してなかったのかもしれないが,担当医含め,こうした記載を目にしたら,あまりいい気はしないと思う.オンボロ病院のキテレツ先生,とか.
 それと,“オアシス”の元ハーバードのプロフェッサー先生の外来,診断困難な患者で溢れてたりして.

・後医は名医
 元ハーバードのプロフェッサー先生のとこ受診した際には病状がかなり進行していた可能性あり,このプロフェッサー先生だって,単独では診断に至らず,キテレツ先生の各種検査(もうありとあらゆる検査といっていい)を経て初めて,ようやく稀な診断に至ったわけで.

・(引っ越しのために)いろいろ理由をつけて毎週外出(しかも門限守らず)
 そういう患者に退院を促すのは医療機関として至極当たり前.入院待っている患者はたくさんいるんだから.


皮膚筋炎は国試にも出るが,筋膜炎脂肪織炎症候群は,よほどの専門医じゃないと聞いたこともないレベル.膠原病ぽいなぁってのは想像できるけど.
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by E_physician | 2011-09-06 02:55 | 医学・医療一般

「神様のカルテ」と医師の徳

「神様のカルテ」と医師の徳

映画は観てない(観るつもりもない)が,本は読んだ.同僚ナースが貸してくれたから.
正直 なぜそれほどのベストセラーになるのかよくわからなかった.
世間ではこういう医師が切望されてるんだろうなぁというのはよくわかる.しかし,前夜寝てない医師の診察[手術,処置]を受けたいか?という疑問がなぜ出てこないのか不思議でならない.前夜寝てないパイロットの操縦する飛行機に乗りたい人はまずいないだろうに.


全身麻酔の患者を放置して逃げた医師 
「手術中の火災」は不可抗力か、問われる医師の徳


あくまでも中国ネタではあるが,主旨からすると「患者を置いて逃げるのはけしからん」である.だがしかし,一体どうすれば良かったというのだろう.筆者の論旨だと,最後まで患者に寄り添い,医者も一緒に死んでいればよかった,と言ってるようにしか思えない.
医師達は人工呼吸器がきちんと作動していることを確認して脱出,直後に出会った消防士に患者の搬出への協力を依頼したが,危険だとして阻止されたという.患者の死因は熱傷ではなく,窒息とのことだから,人工呼吸器が途中で停止してしまったか,あるいは酸素が供給停止したか.責められるべきは病院の防火対策であって,医師達ではないだろうに.
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by E_physician | 2011-09-03 03:33 | 医学・医療一般

悪魔の囁き

最近せっせと自炊している.ご飯じゃなくて,書籍の方だ.捨てようかどうしようか迷うような(なら捨てる,のが本当は正解なのだが),めったに開かない医学書の類も,バンバンぶった切って,本棚をカラにしている.
今はまだ医学書は電子版より紙版の方が圧倒的に多いが,分厚いのと,検索することが多いのとで,電子版が主流になるのもそう遠くないのではないかと思う.救急分野では例えば,Tintinalli's Emergency Medicineなど,厚さ7cm,重さは2kgくらいはあろうか.本棚から取り出すだけでも億劫だし,とても寝転がって読めたもんじゃない.

よくテレビの医学ネタ/ニュースで,お偉い教授先生が取材に答える時,専門書がズラリと並んだ書棚が背景になっていることが多いが,ほとんどの専門書が電子化される時代には,背景にはiPadとかの電子端末がポツンと1つになるのだろうか?

日本は母国語の医学書が多数存在する希有な先進国である.医学書はそもそも,マーケットが小さく,書籍の値段は非常に高い.想像するに,医学生向けの医学書の売れ行きは今後激減するのではないか? 推奨しているのでは決してないと断っておくが,学年で1冊 共同購入して自炊すれば(もちろん著作権法違反)...こういうこと考える奴は絶対いるだろうし,1万円の書籍が¥100の負担で電子版(=違法コピー)が入手可能となれば,そっちに傾くのは想像に難くない.
これを防ぐには,スキャンすると「複写」とかの文字が写って読みにくくなる加工をするか,ダウンロード不能な(可能か?)web版にして,閲覧権を販売するとか?
あるいは,UpToDateやMDConsultみたいに,医学生向けの教科書をバンドルして年会費制にするか.

医学生は勉強が忙しくてバイトもあまりできなくて,しかも書籍費は膨大で,苦学生には本当に辛いものがあった.国試が終わったときに,医学部6年間で購入した書籍費(一般教養から国試対策問題集まで)を合計してみたら(ヒマだな)...約70万円だった.医学生当時 違法コピーという悪魔の囁きがあったなら,自分も間違いなく堕ちていたと思う.
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by e_physician | 2011-02-16 03:01 | 医学・医療一般

自然って何だ

8/24の新小児科医のつぶやきのコメント欄より

moto-tclinic  2010/08/24 18:41
アンチエイジングとか、老化に対しては「自然がいい」とはあまり言われないのだわな・・。まあ例外人もいるけど。
「自然派化粧品」とか、違和感あるネーミングだと思うけど、そもそも化粧って自然じゃないし。
独居老人の在宅死なんかは「自然死」そのものだし。
「自然死運動」のほうが、人類的には健全なような気がする。


そもそも不自然なのに,“無添加・無香料・防腐剤フリー・合成界面活性剤フリー・天然素材重視の自然派化粧品”とか(笑).
私なんか,化粧してても「えー?! 化粧してたんですかー?! ずっとスッピンだと思ってましたー」とか(複数の)ナースに言われたことがあるくらい“ナチュラル”メイクだが.

オーガニックとか無農薬にやたらとこだわる人も,ホメ○パチにはまる人も,紙一重だと思うなぁ.科学的な思考ができないという意味では.そもそも農業も,非常に不自然な“産業”だし.
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by e_physician | 2010-08-24 22:44 | 医学・医療一般

低血糖

意識障害で運ばれてきた患者で,低血糖をまず否定するというのは,救急におけるABCのA的なことではあるが...

入院中で,病歴上あるいは検査上DMがなくて,インスリンも使ってなくて,飯も普通に食ってる患者が突然 意識障害を来した時に,「何者かがインスリンを大量ivした可能性」まで疑わないといけない時代なのか,と思っていたところ,後述のドラマを観たら「自殺目的でインスリンを大量自己注射した可能性」なんてものまで...

LAW&ORDER SVUの第5シーズン"Painless"で,入院中に刑事の事情聴取を受けていた被害者が突然ぶっ倒れて痙攣する.院内なので医療的介入が速やかだったにも関わらず,死亡.結局 自殺目的で不法入手したインスリンを自己注射,という筋書きだったんだけど,刑事と医師の会話で,CPR中の随時血糖が2だった,というセリフがある.なら血糖補正しただろうし,なんで死ぬんだ?という不思議なエピソードだった.
この(多分ほとんど無名の)女優さんの,ぶっ倒れる前の小刻みな手の震えや,やや不隠になりつつある意識状態の変化とかは,とっても低血糖ぽくて素晴らしい演技なのだけどねぇ.
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アメリカのドラマは日本とは金のかけ方がハンパなく違うので,かなりリアルに見えても,医学的な部分は結構とんでもないものが多くて,その点は日本のドラマと大差ない.Dr. Houseも,つっこみどころ満載だし.
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by e_physician | 2010-03-14 22:40 | 医学・医療一般

私服だったら清潔か?

「脱・白衣」広がる 子の緊張和らげ、清潔な服で診察

>  「いけだこどもクリニック」(堺市北区)の池田和茂院長(47)が2006年10月の開業以来、「脱・白衣」路線を貫いてきた理由の一つは意外にも「衛生上の問題」だ。約20年間の病院勤務時代、週に2回程度しか白衣をクリーニングしてもらえず、衛生面で疑問に思ってきた。

 そ,それは,その病院の衛生管理の問題かと.週に2回(2枚じゃないよね)のクリーニングなら,5-6枚の白衣があれば毎日着替えることも可能では? 大抵の病院は,勤務に際し白衣の1-2枚(/年)支給されたり,貸与されるから,病院をいくつか経ると,手持ちの白衣が10枚近くになることも珍しくない.

> 「今は私服だから毎日洗濯し、清潔な服で診察出来る」

 私服でも,シャツはともかく,セーターやズボンは毎日洗濯しないのでは?
 それに,はい,お口あーんしてー,で,ゲロ吐かれちゃった日にゃあ...嘔吐下痢症だと感染力が非常に強いわけだが,私服だから自宅の洗濯機で洗うんだろうか?

> 医師、看護師だけでなく事務職も含め約100人の職員全員が、おそろいの半袖シャツとカーディガン、ユニクロのチノパン姿だ。

 さて,そのカーディガンとチノパンの洗濯頻度はいかに.

> 「医師は医師同士、看護師は看護師同士で固まりがちだったが、より良い医療を目指すという目的は同じ。同じユニホームにすることでチーム意識を高めたかった」

 ユニホームが別でも,チーム意識を高めることは可能なはず.このあたり,夫婦別姓議論と似てるな(同じ姓でないと,家族としての一体感がない,とか).

> ただ現在、実際に白衣を毎日洗濯する医師は少なく、私服の上に着る「作業着」的存在になりがち。

 だからー,作業着なんだってば.


しかし,何でこの記事 「医者」って言葉で始めるんだろうなぁ.
記者についての記事も「ブン屋」で始めてOKだな.

記事引用
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by e_physician | 2010-01-07 21:42 | 医学・医療一般

消費者甘やかし文化

元旦に近所のスーパーがどこも閉まっていて,ちょっと困ったけど,ホッとした部分もある.

子供の頃は(どれだけ前かは触れない),デパートの初売りって,2日からだった.元旦はほとんどすべての店が閉まっていて,元旦は街中は静かなものだった.それがいつの頃からか,初売りが元旦に前倒しになり,もう文字通り年中無休の店がやたらと増えた.
もちろん,店員さんは交替で代休取ってるんだろうし,休日・祝祭日にも営業することで利益が上がるということもあるだろう.しかし...

海外に行くと,日本人はかなり土日祝日コンシャスにならないと,相当困る.デパートは休日は休みだったり,閉店時間が早かったりするし,レンタカー会社が週末休みだったりする.もー!何で閉まってんだよー,と愚痴りつつ,考えてみれば,休日はみんな休むのが,一般的には世界の常識なんだよなー,と.

元旦も営業の年中無休は,利益を上げるというよりは,結果として消費者を甘やかす元凶になってるんではないかと...年末年始 軽症患者でごった返った救急外来で勤務していてそう思った.
だいたい年末までが最繁忙期で(“今年の風邪は今年の内に”?),元旦は,さすがに正月早々病院はなー,て感じでトラフになって,2日からどっと混む(“仕事始めになると病院行けないし...”).

そういや,近所の年中無休のファミレスも,2日の15時頃 前を通りかかったら,駐車場がほぼ満車の大盛況だった(いつもの週末より明らかに盛況).


ま,そんなこんなで,例によって年末年始もよく働きました.餅とか,発熱とか,餅とか.

明けましておめでとうございます.
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by e_physician | 2010-01-04 02:59 | 医学・医療一般