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白衣の前を閉めるの閉めないの,の件

白衣の前を閉めないのはけしからん!みたいなコメントがあちこちのblogやBBSに散見されるが,理解に苦しむ.

白衣は作業着すなわち防汚衣である.
中に来ている私服が汚れないようにするためのものだ.従って,中の私服が汚れてもいいのなら,前をはだけてようと,そもそも白衣着る必要も,ないのだ.アメリカやイギリスだと(その他の国については知らない),小児科医の一部や精神科医なんかは白衣を着ていないことが多い.そういえば,Dr.Houseだって白衣着てないぞ(内科医って設定だけど).

白衣は防汚衣,すなわちそれ自体は汚れているものだから,CV挿入など厳密な清潔操作が必要な場合は,白衣(着ていようといまいと)じゃだめで,滅菌術衣を着用してmaximum precautionsでやるのである.
白衣は汚いが,患者毎にいちいち取り替えるなんてのは,非現実的である.従って,汚いものとして認識して行動すればよい.もちろん,汚いと言っても,それ自体が大きな問題になることはあまりない.
MRSAとかの菌が付着しているのでは? そりゃあ付着している可能性はある.しかし,白衣で患者の目鼻口なんかをなでなでするわけでもなし.

白衣の前を閉めないことを,ことさらに言う連中にとっては,白衣は清潔着なんだろうか?

救急系の医師は,ドラマ「コードブルー」みたいに,術衣がユニフォームになっていることが多く,白衣はめったに着ない.すなわち,ちょっと羽織るだけだから(羽織る理由は,肌寒い時,とかいうレベル.コート代わり.),いちいちボタンは閉めてない.外傷患者を診療するときは,術衣の上にディスポの防汚衣(薄手の不織布製の割烹着みたいなやつ)を着る.

そう言えば,何年か前に,医師のネクタイは細菌に汚染されている,ということを示した論文が出ていたが(こんなネタも論文になるんだね),この著者の本来の意図は,ネクタイ締めるのが嫌だから,汚染を根拠にネクタイ禁止に持ち込みたかったのではないかと私は推測している(いや,絶対そーだ).

ナースキャップだって,細菌だらけで,毎日交換するわけではない(らしい)し,ズレると止め直したりすることで手が汚れるとか,仕事の邪魔とか,いろんな理由で,先進的な病院ではほとんど廃止の方向.今じゃ看護学校か,コスプレくらいでしか見かけなくなってきている.

高級フレンチのシェフだって,板前さんだって,トイレ行くたびにあの白いユニフォーム着替えたりしないぞ(手はしっかり洗ってくれている...と信じたい).


白衣には医師の権威づけ,みたいな役割もあるだろう(白衣着てないと,医師に見えないっていう...).しかし,白衣高血圧といったマイナス面もある.
権威づけ,言い換えればある種のファッションとみなすなら,閉めようが閉めまいが,本人の自由である.ビジネススーツは,座っている時は,ボタンは開放するか1個だけ止めるくらいでよく,起立時・歩行時は閉める,なんてビジネスマナーはあるが,医師は座ったり立ち上がったりが頻回だし.


白衣について,理論的に書いてあるのは以下のサイト(医師向けではないが)くらい.
北海道大学理学部化学科学生実験
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by e_physician | 2009-11-14 05:38 | 医学・医療一般